サザンカのところの、3週間ほど前に苗付けしたバナナ、順調に育っている。こうなると、りちぎなサザンカは真剣。水やりを欠かさないよう4時頃に起きる。5時になると、『ソデシさん』がピタッと水を切ってしまうから。
「でも、水をやりすぎると、かえってよくないらしい。いったん根付けば、あとは水やりしないでいい。バナナは自分で地下の水を探しに行く、水は自分で苦労し探してくるということで、人の水やりは浅いところにしか届かない。すると根が地表から浅いところだけで育って、モヤシのようにひ弱くなる、地下まで伸びて踏ん張る強い根にならないらしい。」
「なんか子育てみたいね。とサザンカは思った。過保護に育てると、子供は自分の力でなんとかする、ということを学ばなくなるのと同じね」
サザンカは自分が子供時代、体が弱い子だったのを思い出した。
「父は結核を患っていた。その時代は今とは違って、結核はとても恐ろしい病気だったよ。入院、退院をくりかす長い年月、母が看病生活に苦労していたのを覚えている。人の口はうるさいもので、あそこのうちは、結核があるから近づいたらいかんよ、、なんてことも近所で言われてたらしい。
「そして小学校に入る前、自然陽転した。すると母はとても心配性だったのでね、わたしに運動などをさせまいと気を使った。学校の体育の授業はほとんど欠席。先生に、この子は疲れさせてはいけないんです、、と頼みにいってね。だから、わたしは運動が苦手な子になった。鍛えるべきところを鍛えないまま、大きくなったような気がする、、、」
「体育の授業の定番のあれ、床運動、鉄棒、平均台、これはもう苦手で、自分の番が来ると縮み上がっていた。今になって思うのだけれど」と、サザンカは、自分の小学校時代のことを振り返る。。。
「あの平均台をおろそかにしたの、今になってツケが回ってきてるわ、カカオ畑に行く途中の狭い橋なんか怖くて渡れないもの。。。」
さて、それはそうと、きのう面白い人に出会った。
「薬の行商人をしている人。軟膏などを自分で調合して、お客からの注文があると持ってきてくれる商い人。日本に昔あった『富山のとんぷく売り』みたいな感じ。
「この整髪剤というのか、栄養ポマードで髪をマッサージしたら、櫛が通りやすくなった。おまけに生え際にあった白髪が、ふしぎふしぎ、だんだんなくなったよ。」
イロームがこの人と隣村のアゾぺで知り合っていた。で、イロームがヤカセメ村で計画している文化活動のことを、話したら意気投合したそうで、奥さんと一緒にうちに遊びに来た。
「いつも話しには聞いていたけど、昨日初めて会った時、どこかで見た人に似ている?、ラスタマン、大きな帽子があたま全体をおおっているほそおもての顔、あっっと思った。テレビなどで見たビンラデンに似ていると、、」
イロームが「なるほど、ああ、ビンラデンか、、、そうだな、、、」
「髪にいいって言うポマード、僕も使ってみようかな」
「どこに使うの? 言っちゃ悪いけど、なくなった頭のてっぺんの毛は生えてこないんじゃない?」
「奇跡は起こるかもしれないだろ。髭はたんとあるからもっと伸ばす」
「ふーん?、、、似合わないよ、そんなの」
この行商人さんは、また来週来る。新しく開発調合している薬を持ってきてくれるらしい。
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