サザンカのところでは、10日ほど前に庭にバナナの苗を植えた。モンキーバナナと言われる一種なのだそうで、サザンカは朝夕と水をあげている。
「きのうあたり急に新芽が出ているのに気がついてね。夕方と早朝は見ているのだから、いったいどのタイミングでニョッキと新芽が出たのだろう。人が寝ているあいだかしら。」
人目のある日中はバナナも、大切ないのちの活動に集中できないのかもしれない。
「新芽が朝日にキラキラ輝いているのを見たとき、水をやっているこちらも、何か楽天的な気持ちになる。この村の生活、どうもまわりと、ちぐはぐで、今ここにいるのは何だろう、と考えてしまう、、、」
新年早々こんなことを言うサザンカさんを意外に思った。後でゆっくり話を聞いてみようと思いながら、バナナの新芽を見た。
8苗ほど植わっている。たしかに根がつけば、今年のいつの日にか、成果があるだろう。よっぽどこの地特有の突発突風が来て、なぎ倒していくようなことがない限り、甘いバナナを毎日もぎ取る楽しみの日々は、そんなに遠くないだろう。きっとね。
年末年始はどうしてたの、とサザンカにたずねたら
「体調がおかしかったので、あっ、ヤバイ! またマラリアか、、と、どこにも出かけずに、静かに過ごしていたという。
そうそう、マラリヤが来ると、後頭部にマラリヤ特有のいやーな鈍痛がある。村の蚊はえげつない、性格悪いマラリア蚊だ。泣き声もなく、知らぬ間に刺されてしまう。
「去年は一年間で2ヶ月おきにかかっていたからね。すぐアレだ!とわかるのよ。で、今回はそうではなかった。消化不良だったのかしら、正露丸を飲んで調子が元に戻った。正露丸さまさま。」
アビジャンで都会慣れしてきたサザンカには、村の気候、自然条件はきびしく、しんどい。家の塀を一晩でなぎ倒していく豪雨と強風、絶え間ない断水、突然くる停電、すべてが行き当たりばったり、ごちゃごちゃの毎日では、”こんなのやってられない⁉︎” と文句が出る。と言っても、誰のせいでもないんだし、、そうかなぁ、、豪雨と突風はどうしようもない。でも水道会社と、電気会社は何やってんだろう。と怒っている。
ヤカセメ村は、雨の多い地域で知られている。そして土地は肥沃。例えば、主食のひとつマニョク(カッサバ)は、小さな根っこをポイと後ろへ投げて、あとは寝て待てばいい、勝手に生えてくる、、と、からかわれるほどだ。行き当たりばったり、勝手気ままな暮らしぶりは、恵まれたこの自然環境のせいではないかと、サザンカは思う。
ラジオから流れてくる世界のニュースは、世界中でコロナの感染状況がまた悪くなっていると伝えている。世界のあちこちで紛争が起こっている。どこもかしこも。人間の間で諍いがなくならない。
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さて、新年に当たって
サザンカとイロームの合言葉は、
「楽しいことをやっていこう」
「それって、、もういつも言ってるけど」
「芝居だ、演劇だ」
「うーん・・だけどねえ」
「がんばりましょう」
「頑張ってるじゃん、」
「一人一人が孤立してやってても生まれてこない。仲間と共にやる」
「その仲間作り、人集めはむつかしいよ、村では、、」
「続けることだ。いつか見つかる。Never Give Up」
「ふーん、そうかも。。??。。ね。」
never give up
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